冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
『愛する気持ちは一生消えない』と言い切る彼を大袈裟だとは思わなかった。

誰かを愛する気持ちがどれほど狂おしいものなのか日奈子はよく知っている。

日奈子だってどうしても消えない彼への想いに長く悩まされてきたのだから。

「俺は今まで日奈子に兄としての顔しか見せてこなかった。一度でいいから男として日奈子を愛したい。日奈子はそれを見た上で男として俺を愛せないかをもう一度考えてみてほしい」

「もう一度……。でもそんなこと……」

「無駄か?」
 
尋ねられて、答えられずに口ごもる。
 
無駄だというならそうだろう。日奈子はもうすでに彼を愛している。それでもその愛に応えるわけにいかないのだから。

「そうじゃなくて……」

「日奈子、頼む。俺にチャンスをくれ」
 
懇願するように彼は言って、重ねた手に指を絡める。そして日奈子をジッと見つめたままそこにキスを落とした。

「日奈子、愛してるよ。必ず幸せにする」
 
熱い言葉と真っ直ぐな眼差し、ほんの少しだけ触れた彼の唇の感触が甘い痺れとなって日奈子の身体を駆け巡った。胸が痛いくらいに高鳴って、止められなくなってしまう。
 
愛する人にこんな風に愛を乞われて、拒否できる人がこの世に存在するのだろうか?

「愛してる、一生大切にする。もう一度、チャンスをくれ」
 
絡んだ指を解くことも拒否の言葉を口にすることも、どうしてもできなかった。
 
目を伏せてほとんど無意識のうちに、ゆっくりと頷いた。
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