冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「さっきも言ったじゃないか。俺は日奈子と過ごせればそれでいい。それが俺にとって最高の休日の過ごし方だ」
 
そう言って柔らかく微笑んだ。

「な……ならいいけど」
 
日奈子への気持ちをストレートに言葉にする宗一郎に、日奈子の鼓動がスピードを上げていく。

ダメだダメだと自分自身に言い聞かせても止めることができなかった。宗一郎が自分を好きだというこの状況には、いつまでも慣れそうにない。

「日奈子、いつも休みの日はなにをしてるんだ?」

「え? いつもは……えーっと……」
 
ただぼーっとしているだけとも言いたくなくて日奈子は考えを巡らせる。あることを思いついて口を開いた。

「あ、そうだ。こういうのをやってることが多いかな」
 
ベッドの下に入れてある籠を引き出して彼に見せる。

中には、ビーズアクセサリーや、毛糸、フェルトなど手作りのアクセサリーなどが作れるキットと材料と道具がぎゅうぎゅうに詰まっている。

どれもやってみようと思い買ったものだった。

《日奈子、寂しかったりつらかったり、よくないことを考えてしまう時は、無心になってやれることを探しなさい。日奈子は手芸や手作りが好きだから、そういうものをやったらいいんじゃないかな》
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