その狂愛からは、逃れられない。
「それを私に見せつけたのは!? 私の反応を見て、愉しんでいたのは!? 私の縁談をぶち壊したことは!? 私のっ……全部、それだけの理由で私を苦しめたんですか?」
目尻から零れ落ちた涙に、光は顔を歪めた。
「好いてくれているのなら、他にやり方があったでしょう!?」
「……申し訳なかった」
そしてスッと下げた頭に、少なからず蓮華は驚く。
蓮華の知っている光は、誰かに謝ることも知らなければ頭を下げることも見たことがなかった。
しかし。
「そんな謝罪で、私の人生は帰ってきません」
だからと言って、簡単に許せる問題では無い。
「……あぁ。そうだな。ただの俺の自己満足だ。でもどうしても、謝りたかった」
「……」
「蓮華がいなくなって、俺は気が狂ったように暴れたよ。蓮華と結婚できなくても、一生蓮華は俺の元にいると思ってたから。縁談ぶち壊せば、お前は俺に一生仕えてくれると思ってたんだ。馬鹿だろ」
「……馬鹿というより、そこまで行くと異常です」
「ははっ……そうだな。でも、それくらい。異常なくらい蓮華のことが好きなんだって、改めて気が付いた」
「……」
怖いくらいに優しい瞳に、蓮華の背筋が震える。
その視線から逃れようとギュッと目を閉じた時。
ふわり。体が温かいものに包まれた。