ヒーローは間違えない〜誰がために鐘は鳴るのか〜
痛む頭と気だるい体を引きずって、ヒカルはシャワーを浴び、粛々と旅の準備を始めた。
父親だけではなく、今は他人であるユウリも待たせてしまっている。
しかも、昨夜は関係ないはずのユウリにウザ絡みまでしてしまった後なのだ。
所々記憶が曖昧なのも頂けない。どんな粗相をしてしまったのかもわからない。
だが、今朝のユウリは相も変わらず紳士だった。
醜い化粧崩れや、見るに耐えない汚部屋を目にしただろうに、声色も変えなかった。
モラハラ野郎と違い、なんて人間ができたイケメンなんだろうか?
いや、比較対象が悪すぎるな。
ヒカルは、現実逃避をはかりながらダラダラと荷物を詰める。
「こらあ、いつまで待たせやがる!この酔っぱらい娘ぇ!」
階下から父親の貢が叫ぶ声がした。
いい加減、腹をくくるしかない。
「今行くから」
ヒカルは重い身体を奮い立たせると、壁際に置いてあった姿見に映る自分を見つめた。
目の下の隈、やつれた頬骨。
たとえこの3日間が楽しかったとしても、その先に待ち受ける現実は変わらない。
自分だけが逃げてもいいのだろうか…。
それは、完全に心を病んでしまった人間の思考だった。
このまま鏡を割って、その破片で血管を傷つければ…。
「ヒカル、迎えに来たよ。行こうか?」
病み落ちして、今にも鏡に吸い込まれそうなヒカルを現実に引き戻したのは、ライトブラウンの瞳で一心にヒカルを見つめるユウリの優しい言葉だった。
父親だけではなく、今は他人であるユウリも待たせてしまっている。
しかも、昨夜は関係ないはずのユウリにウザ絡みまでしてしまった後なのだ。
所々記憶が曖昧なのも頂けない。どんな粗相をしてしまったのかもわからない。
だが、今朝のユウリは相も変わらず紳士だった。
醜い化粧崩れや、見るに耐えない汚部屋を目にしただろうに、声色も変えなかった。
モラハラ野郎と違い、なんて人間ができたイケメンなんだろうか?
いや、比較対象が悪すぎるな。
ヒカルは、現実逃避をはかりながらダラダラと荷物を詰める。
「こらあ、いつまで待たせやがる!この酔っぱらい娘ぇ!」
階下から父親の貢が叫ぶ声がした。
いい加減、腹をくくるしかない。
「今行くから」
ヒカルは重い身体を奮い立たせると、壁際に置いてあった姿見に映る自分を見つめた。
目の下の隈、やつれた頬骨。
たとえこの3日間が楽しかったとしても、その先に待ち受ける現実は変わらない。
自分だけが逃げてもいいのだろうか…。
それは、完全に心を病んでしまった人間の思考だった。
このまま鏡を割って、その破片で血管を傷つければ…。
「ヒカル、迎えに来たよ。行こうか?」
病み落ちして、今にも鏡に吸い込まれそうなヒカルを現実に引き戻したのは、ライトブラウンの瞳で一心にヒカルを見つめるユウリの優しい言葉だった。