ヒーローは間違えない〜誰がために鐘は鳴るのか〜
「ちょ、ちょっと、なんでさりげなく手なんか握ってるの?!」

掌に伝わる温かさに段々と現実に意識が戻ってくると、ヒカルの手を握りながら愛おしそうにヒカルを見つめるユウリに気が付き、彼女はぎょっとした。

「なんとなく?」

なんとなく?首をかしげる角度も色っぽい。

そんな曖昧な理由がまかり通るのは、イケメンだからなのか?

一歩間違えばセクハラですから。

「は、離してもらえるかな…」

「照れるな、照れるな。ほんと良かったなー。ヒカルは名前のせいか、男日照りだったから」

ピー、レッドカード!!!

男日照りだと?!

「お父さん、私だってね…」

「貢さん、ヒカルは結構モテますよ。僕が横やりをいれたくなるくらいには」

!!??

なぜ、十数年も会っていないはずのユウリが、ヒカルの男事情をしっているのか?

まあ、父の言う通り、全くモテることなく、彼氏いない歴イコール年齢なのだが。

「へえ、自分でアラサー、アラサーの喪女、言っててちっとも彼氏を連れて来ないから、全くモテないのかと思ってたよ。あの美しかった夏花(なつか)の娘だからそれなりに可愛いのに」

「アラサーって言ってもまだ27だし。そりゃあ、ユーちゃんみたいにイケメンじゃないから誰も見向きもしないのかもしれないけど、取引先のおっちゃんたちには『可愛い、孫の嫁に』って言われることもあるもん」

言われることもあるもん、って何歳だよって自分でツッコミを入れつつ、ヒカルは虚しくなった。

そういえば、ユウリに奥さんはいないのだろうか?もしかして現地で合流とかあるのかな?と、ヒカルは握られた手をほどきながら、ジッとユウリを見つめた。

「僕だってそんなにモテないよ。」

ニコニコとヒカルの手を握り直すユウリを睨みながら、ヒカルはフン、と鼻で笑った。

「奥さんがいるならみんな遠慮するかもね」

「こう見えてユウリくんは硬派だからね。いつもは鉄仮面って呼ばれてる。それにユウリくんに奥さんはいないよ。」

貢の言葉に「鉄仮面?」とヒカルは驚きの声をあげる。

昨日から、ヒカルはユウリの笑った顔しか見ていない気がするが、二重人格なのだろうか?

それともモテすぎて人間不信になったとか。

「色々妄想してるみたいだけど、僕は一途なだけだから」

ヒカルの周りにいるイケメンと言われる人種は皆、女癖が悪かったから、いまいちこの人外イケメンはもっと信用ならない。

「そうなんだ」

ヒカルは、握られた手を振りほどくのを諦めて、再び窓の外に目を向けた。

「時間をかけすぎたかな」

呟くユウリの声は耳に届かずに…。

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