鬼社長の迸る視線に今夜も甘く絆される
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「部長、どういうことですか?」
「……分からない」
「でも、さっきの社員、“社長がモデルと婚約した”って」
「……うん、私にも聞こえた」
彼が出張で不在になって数日。
少し遅めの昼食をとるため社食を訪れると、社長の婚約話でもちきりだった。
火消し役に人事部の人が注意はしていたけれど、否定はしていなかったように思う。
……モデルと婚約?
それじゃあ、私はどうなるの?
冷静になって考えてみれば、こんな大きな会社を経営する彼を支えるのなら、庶民でなく影響力のあるような人の方がいいのは分かる。
どこぞの令嬢のように、全てを兼ね備えたような女性の方が合っている。
料理も出来ず、家事も苦手で、仕事優先で女子力も低い。
彼が疲れている時に傍にいることは出来ても、癒すことだなんて出来やしない。
友人という立場なら胡坐を掻いていられるかもしれないけれど、結婚となったらやっぱり難しいのかも。
両親の反対は無さそうだけど、もしかしたら取引先に悪影響を及ぼすとか?
三井さんは好意的だけど、三井さんの御父様は反対なのかもしれない。
だって、無理やり我が儘を言って、彼のご両親の連絡先を聞き出したのだから。
そうか、あれが原因なんだ。
過去を気にするあまり、踏み込んではいけない世界に入り込んでしまったのかもしれない。
だから、彼の恋人として拒絶されたのだろう。
日替わりランチを目の前にして、溜息が零れ出す。
今さら後悔したって遅いのに。
どう繕ったらいいのかすら、分からない。
彼と話し合おう。
彼が白紙に戻したいと言うなら、それに従うしかない。
今ならきっと無かったことに気持ちの整理もつくはず……だから。
「部長、どういうことですか?」
「……分からない」
「でも、さっきの社員、“社長がモデルと婚約した”って」
「……うん、私にも聞こえた」
彼が出張で不在になって数日。
少し遅めの昼食をとるため社食を訪れると、社長の婚約話でもちきりだった。
火消し役に人事部の人が注意はしていたけれど、否定はしていなかったように思う。
……モデルと婚約?
それじゃあ、私はどうなるの?
冷静になって考えてみれば、こんな大きな会社を経営する彼を支えるのなら、庶民でなく影響力のあるような人の方がいいのは分かる。
どこぞの令嬢のように、全てを兼ね備えたような女性の方が合っている。
料理も出来ず、家事も苦手で、仕事優先で女子力も低い。
彼が疲れている時に傍にいることは出来ても、癒すことだなんて出来やしない。
友人という立場なら胡坐を掻いていられるかもしれないけれど、結婚となったらやっぱり難しいのかも。
両親の反対は無さそうだけど、もしかしたら取引先に悪影響を及ぼすとか?
三井さんは好意的だけど、三井さんの御父様は反対なのかもしれない。
だって、無理やり我が儘を言って、彼のご両親の連絡先を聞き出したのだから。
そうか、あれが原因なんだ。
過去を気にするあまり、踏み込んではいけない世界に入り込んでしまったのかもしれない。
だから、彼の恋人として拒絶されたのだろう。
日替わりランチを目の前にして、溜息が零れ出す。
今さら後悔したって遅いのに。
どう繕ったらいいのかすら、分からない。
彼と話し合おう。
彼が白紙に戻したいと言うなら、それに従うしかない。
今ならきっと無かったことに気持ちの整理もつくはず……だから。