秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
 べっとり濡れて光る僕の手。

「舐めてみて」
「えっ」
「その指を舐めて。光輝くん」

 舐めるって…そんなことをしていいのかな。

 濡れ光る指を顔に近づける。匂いがした。初めて嗅ぐ匂いだ。

「舐めてみて」

 彼女がささやく。僕を見つめている。彼女の中に入れた指を、舌を出してちょっと舐めてみる。塩っぱいような。なんだかわからない。

「もっと舐めて。指をしゃぶってみて」

 言われるままに、指を口の中に入れてしゃぶっってみる。ああ…そんなことをしている自分に興奮してお腹の底がずんと重くなった。股間は痺れたように感覚が無い。

「どんな味がする?」
 
 それは…それは。

「沙耶さんの…味がする」

 すると…彼女が笑った。そう。初めて笑ってくれた。そして。

「光輝くんのエッチ」

 また笑った。僕を見つめたまま。大きな、濡れた瞳で。
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