秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
君が好きだから
その日からしばらくして、また彼女の体調が悪いときがあった。ベッドの寝ている彼女に呼ばれ、この前のように裸になるように言われ、この前のように、横たわった彼女のそばに丸裸になって潜り込んでくっついてみる。沙耶さんはこの前のように、何も着ていなかった。
じっと動かずに、ふたりでくっついていたら
「もうすぐ、お別れだね」
ぽつんと、彼女の唇がそう言った。驚いた僕は、毛布を剥いで跳ね起きようとした。
「だめ!」
きつい声で叱られてしまい、また横になる。でも、体を起こした瞬間に見てしまったのは彼女には言わなかった。
「ねえ沙耶さん。お別れって、どういうことなの」
「聞いていないの?」
「うん」
「叔母さんと光輝くんはここをを出ておじいちゃんの家に行くんだって。お父さんから聞いたよ」
「そんな…」
そんなこと聞いていない。寝耳に水だ。
「僕は聞いていないよ」
「そうなの?」