秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
 彼女の白い足。あれっと気がついた。スカートがたくし上げられ、ほっそりした足が、膝の上あたりまで見えていた。彼女の手は、まくったスカートの中にある。かすかに動いている。真っ直ぐに背中を伸ばして座ったままで。

 どきっとした。唾を飲み込む。見てはいけない。よくわからないけれど、僕は今、見てはいけないものを見ている。そう思った。でも、目を離そうとしたのに、見るのをやめられない。彼女から、スカートの中で何かをしている彼女の手の動きから目が離せない。

 息を飲んでじっと見つめていたら、それに気がついた。かすかに聞こえてくるそれに、蝉の声に混じって、それが、かすかな息づかいが聞こえた。手を動かしながら、彼女は、ため息をついている。何度も。
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