シークレット・ブルー 〜結ばれてはいけない私たち〜
「で? 碧はなんて答えたの」
「……か、考えさせてほしいって……」
「なんでよ。碧。カミジュンのこと、嫌いじゃないんでしょ?」
「嫌いじゃないよ。むしろいい人だと思うし、ちょっといいかな、とも思ってる。でも、私には蒼がいるじゃない」
私はなにかを振り切るようにきつく目を閉じた
そう。どんなにカミジュンくんがいい人でも、私には心に決めた人がいるのだ。
だから、カミジュンくんの気持ちを受け入れることはできない。
「……碧」
「わかってる。蒼とじゃ幸せになれないって言いたいんだよね。……私もそう思うよ」
目を開けて前を見据えると、杏香が複雑そうに眉を顰めていた。私が続ける。
「それでも蒼と過ごした時間とか、絆の深さとか……どうしても比べてしまう。その思い出もひっくるめて、私にはやっぱり蒼が必要なんだと思う」
今まで私を支えてくれた蒼に感謝の気持ちがあるし、積み重ねてきた信頼と愛情があるからこそ蒼の存在にホッとする。
私のことを誰よりも理解して、愛してくれる彼と、できればこの先も一緒にいたい。
「まぁ、あたしは部外者だし。決めるのは碧だから、口出す権利ないんだけど」
杏香が小さくため息を吐いて言う。
「――それでも友達として意見するなら……蒼じゃなくて、カミジュンを選んでほしいかな。そのほうが、碧が幸せになれる気がする。っていうか、なれる。それは断言する」
「…………」
杏香の言い分はもっともだ。
このまま蒼と一緒にいても、幸せな未来が訪れることはない。
わかってる。わかっていても、想う気持ちは簡単に止められないから、困っているのだ。
本音を言えば、カミジュンくんともっと話してみたいし、いろいろなところをデートしてみたい、という気持ちはある。
彼となら、いわゆる『普通の』カップルになって、人並みの幸せを得られるだろうという期待があるから。
でも……カミジュンくんを選ぶということは、イコール、蒼との関係を終わらせなければいけないのだ。
――私にできるの? 大好きな蒼とお別れできる?
蒼には、私がこんな風に揺れていることを、気付かれたくない。
そもそもカミジュンくんと内緒でデートしたことだって、蒼に対する裏切りだ。
彼に問い詰められたら、弁解の余地はない。
いっそ、私を嫌ってくれたらいいのに。それなら仕方がないと諦められる。
「碧、そろそろ席取らないと。食べないなら下膳して講堂行こ」
「……そうだね」
もう少しで次の授業が始まる。
私たちはそれぞれお皿の載ったトレーを抱えて、食器の返却口へと向かった。
「……か、考えさせてほしいって……」
「なんでよ。碧。カミジュンのこと、嫌いじゃないんでしょ?」
「嫌いじゃないよ。むしろいい人だと思うし、ちょっといいかな、とも思ってる。でも、私には蒼がいるじゃない」
私はなにかを振り切るようにきつく目を閉じた
そう。どんなにカミジュンくんがいい人でも、私には心に決めた人がいるのだ。
だから、カミジュンくんの気持ちを受け入れることはできない。
「……碧」
「わかってる。蒼とじゃ幸せになれないって言いたいんだよね。……私もそう思うよ」
目を開けて前を見据えると、杏香が複雑そうに眉を顰めていた。私が続ける。
「それでも蒼と過ごした時間とか、絆の深さとか……どうしても比べてしまう。その思い出もひっくるめて、私にはやっぱり蒼が必要なんだと思う」
今まで私を支えてくれた蒼に感謝の気持ちがあるし、積み重ねてきた信頼と愛情があるからこそ蒼の存在にホッとする。
私のことを誰よりも理解して、愛してくれる彼と、できればこの先も一緒にいたい。
「まぁ、あたしは部外者だし。決めるのは碧だから、口出す権利ないんだけど」
杏香が小さくため息を吐いて言う。
「――それでも友達として意見するなら……蒼じゃなくて、カミジュンを選んでほしいかな。そのほうが、碧が幸せになれる気がする。っていうか、なれる。それは断言する」
「…………」
杏香の言い分はもっともだ。
このまま蒼と一緒にいても、幸せな未来が訪れることはない。
わかってる。わかっていても、想う気持ちは簡単に止められないから、困っているのだ。
本音を言えば、カミジュンくんともっと話してみたいし、いろいろなところをデートしてみたい、という気持ちはある。
彼となら、いわゆる『普通の』カップルになって、人並みの幸せを得られるだろうという期待があるから。
でも……カミジュンくんを選ぶということは、イコール、蒼との関係を終わらせなければいけないのだ。
――私にできるの? 大好きな蒼とお別れできる?
蒼には、私がこんな風に揺れていることを、気付かれたくない。
そもそもカミジュンくんと内緒でデートしたことだって、蒼に対する裏切りだ。
彼に問い詰められたら、弁解の余地はない。
いっそ、私を嫌ってくれたらいいのに。それなら仕方がないと諦められる。
「碧、そろそろ席取らないと。食べないなら下膳して講堂行こ」
「……そうだね」
もう少しで次の授業が始まる。
私たちはそれぞれお皿の載ったトレーを抱えて、食器の返却口へと向かった。