最強ヴァンパイアの柊くんに囚われて溺愛、溶かされる


目をぎゅっと瞑る。もう見たくなくて。

元々暗い視界が更に真っ黒にブラックアウトしても、顎に手をかける彼の冷たい手だけは鮮明に感じられた。

そのまま顔を持ち上げられて、彼の唇の雨が降らされた。

目の端にリップ音なんて立てながら、漏れ出た涙を拭うようにして小さなキスを繰り返される。   

こそばゆくて、身を捩ると力で押し付けられて動けない。


ーー逃げられない。




「やっやだ…離して……!」



漏れ出た声さえも閉じさせるように、私の声さえも拭うように、唇にもキスを落とされる。

やだ、あともう少しで逃げれたのに。

いつの間にか開いてしまった眼は、私から唇を離した彼の綺麗な顔を映し出していてしまっていた。

真っ赤な口元は笑っているのに高貴なヴァンパイアであるお月様みたいな黄色い目は笑っていない。これは不機嫌なサイン。




「相変わらずひどいな。今回なんて逃げ出したもんね。


……紬は俺のことが嫌いなの?」



「き、嫌い!嫌いだから!」



突き放すように言っても、私が足も肩もプルプル震えているのはお見通しなんだろう。 

傷つくなあ…なんて眉をが少し下げて言っていけれど全然そんなことは思ってはなさそうなその顔も、なにもかも全部嫌い。



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