ラブ・ジェネレーション

「お邪魔しまーす」
誰もいない暗がりに向かって明るく挨拶をして、そのまま二階の翔琉の部屋に上がった、

「結衣、散らかってるけど座って待ってて、何か持ってくるから」


久しぶりの翔琉の部屋、
壁には彼が大好きな浜田省吾のポスター、その下には憧れて練習していたフォークギターが立てかかっていた。

懐かしい匂いに感じ入って目を瞑り時を遡る、

文化祭で歌ってたね、格好良かった、、
あの時は自分の彼氏だなんて信じられなくて、沢山の女の子が騒いで盛り上がっていたのに、翔琉に一番近いはずの私は講堂の一番後ろの出入り口に立って、他人のようにそれを傍観していたっけ。

部屋に戻った翔琉は、私の好きなお菓子とミルクティーをテーブルの上に置いて、ベッドを背に座る私の横にならんで腰を下ろした。

「結衣はガルボとプリッツが好きだっただろ」

「よく覚えてたね」
っていうか、そんなのよく家にあったねー、……まさか計画通りか?

「だから、俺は結衣を忘れた事はないって」

ほんとかい、

「じゃあ私の好きな犬は?」
「マルチーズ」

偉そうに腕を組んで、まるで一般教養の如く平然と答える、

「言われて嫌いな言葉は?」
「愛してる」

「一年生の時の体重は?」
「48.7キロ」

なんでそんな事まで覚えてるのー、私の方が自信がないじゃない、

「三年生の時は?」
「それは… 教えてくれなかっただろ」

ちょっと太ったからね、恥ずかしくて言えなかったんだよ、
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