ラブ・ジェネレーション
二十歳を過ぎても男を知らない、翔琉が初めてだったらいいのにと思った事も何度かあった、
今、私は何に抵抗したんだろう……
二年ぶりに会ったからか、でもそんなブランクなんてまったく感じないし、
酔っ払った翔琉も私が想像していた範疇で、特に不快感があるわけでもない、
それなら、どうして、、
何かが変わってしまう事を恐れているのだろうか、
気まずい雰囲気の中、
彼は席を立って壁に立てかけられたギターを手にした、
此処に遊びに来ると翔琉はよく歌ってくれた、
私の気分にあった曲をメンタリストみたいに読み当てて、感情を弄ぶようにマッチングしてくれた。
「結衣、ごめんね」
もう一度謝って、ピックを手にしチューニングを済ませると、やがて弾き始めた切ないメロディー、
浜田省吾の『片想い』だった、
翔琉の中ではずっと片想いだったのかもしれない、付き合っていても、どこか煮え切らない私の態度に、
完全に自分のものにならないもどかしさを彼が常に感じていたとしても不思議じゃない。
翔琉は歌も上手だ、低めの声音が原曲を彷彿とさせる。
聞き入る観客は私一人、昔のように彼は私のためだけに歌ってくれていた。
歌詞を噛み締める私の頬を自然と涙が流れた……
翔琉の気持ちがそのまま歌詞に表れている、
一度でいいから私の胸の中で眠りたいと、歌っていた、
叶わぬ恋なら、もう諦めた方がいいと、
「翔琉! 片想いなんかじゃないよ、私も翔琉が好きだからね!」
慌ててフォローしていた、
彼が本当に諦めて、私から離れて行きそうな気がして怖かったからだ。
私も彼との再会を待ち望んでいたことに、ようやく気づいた、