ラブ・ジェネレーション

堤防のコンクリートの階段を住宅街に降りると小さな公園があって、入園前の小さな子供を連れた若奥さんたちが井戸端会議に夢中になっている、いつもはそれを横目に見ながら通り過ぎていた。
公園の入り口の両側には三人掛け程度のコンクリート製のベンチが置かれている、翔琉はそれを指差し、

『あそこのベンチで話そう、っとその前に缶ジュースぐらい奢らせてよ』

道路を挟んだ反対側にはコインランドリーがあって、その店先に自販機が2台並んでいる、さすがに断るのは失礼と思い頷いた、

『うん、ありがとう、頂こうかな』

『結衣は何が飲みたい?』

『カフェオレがいい』

翔琉はブラックだった、『苦くないの?』と聞く私に、
『青春だから』とニッと笑顔で意味不明な回答を返す、

青春は苦いのか? 
それとも甘くないとでも言いたいのだろうか、


優しく缶の蓋まで開けて手渡してくれたカフェオレ、一口飲んで乾燥気味の喉を潤し、私は翔琉には知っておいて欲しい家の事情をかい摘んで話した、


『お父さんは……私が小さい時に亡くなったんだ、それからお母さんは働き詰め。だから私には遊ぶ余裕なんてないんだよ』

『そうか、ごめん、知らなかったんだ……』

敢えて自分から人に話すことじゃないからね、女友達でも話の流れから打ち明けた数人しか知らない。
決して同情してもらいたい訳じゃなくて、きちんと断る理由を説明しなければ付き合いが悪い子って思われてしまうのも悲しいからね、

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