ラブ・ジェネレーション

『翔琉、約束して、絶対に同情や憐れみの目で私を見ないで、そんな態度を出したら嫌いになるから』

『わかったけど、俺は少しでも結衣の力になってやりたい』


それから翔琉は、私をあちこちへと連れ出してくれた、もちろんデート代は翔琉持ちで、
私が遠慮しても『結衣と一緒の時間を買ってるんだ』って嬉しそうに言ってくれた。

悪いと思いながらも翔琉の好意に甘えてしまう、
きちんと事情を説明した上でのことだったから、特に抵抗もなく受け入れることができた。

私の十六歳の誕生日、翔琉は女子高生の間で話題になっていたお店に連れて行ってくれた、

『美味しい?』
『うん、初めて食べたー、こんなに美味しいケーキがあったんだね』
人気があるためかお店はほぼ満席状態、他のお客さんに聞かれたら恥ずかしくて、ヒソヒソ声になっていた、
ひとくち口にしたあまりの美味しさに笑みが溢れて、それを見た翔琉も嬉しそうに頷いていた。

『良かった、結衣の喜ぶ顔が見れて』

急に恥ずかしくなった、今時ケーキ一つでそこまで喜ぶ女の子がいるのだろうか、

『翔琉、ありがとう』

『今度は俺の誕生日に来ようか、あっ俺が結衣に祝って欲しいんだから、もちろん俺の奢りでね』
『……ごめんね、何もしてあげられなくて』

翔琉は手招きして私の耳に小さな声で囁いた、
『代わりにあとでキスさせて』

なっ、こんなところで言うな! 

『ばーか、一回だけだからね』 私の顔、赤くなってない?

『結衣と同じ時間を過ごせるだけで俺は満足なんだ』

< 34 / 106 >

この作品をシェア

pagetop