ラブ・ジェネレーション

いくら何でも翔琉の誕生日に奢ってもらうばかりでは自分が許せない、今の私にできることはなんだろうか、
お金はかけられないから何か手作りの物をあげたい。

そう思って、その日家に帰ってちょうど起きてきたお母さんに相談してみた、

『ねぇお母さん、裁縫教えて』
『あら、急にどうしたの、結衣も女の子らしい事言うようになったね、いいよ、何が作りたいの?』

どんなに疲れていても、お母さんは私の頼みを後回しにはしない、私もそれがわかっていたから無理を言わないように、取り敢えず作りたいものと必要な材料を聞いてみた。

お母さんは裁縫が上手だ、小学生の頃、買うお金はなくても何でも自分で作ってくれた、それがまたオシャレでセンスもいい、皆んなが同じような市販品を手にする中、私だけ世界に一つしかないお母さんの手作りである事が自慢だった。


お母さんの手ほどきを受けて翔琉の誕生日にささやかなプレゼントをあげた、
『なにこれ』
『何って見てわからないの!』

フェルトで作ったマスコット、服には翔琉のイニシャルのKの文字
『ねぇ、翔琉に見えるでしょ』我ながら上手くできたと思う、

『うん、似てるよ、これ結衣が作ったの?』
『ごめんね、こんなものしかあげられないんだ、でも私のとペアだからね』
カバンに括り付けた私がモデルの女の子のマスコットを見せてあげた。

『いや、凄く嬉しい、でも……』

『でも?』 何か文句がありますか!

『結衣のと交換して、自分のマスコットより結衣のマスコットを身につけていたい』
『そっか、その方がいいよね』

出来栄えは別にして手作りのプレゼントをあげた事が、私の心に前向きな変化をもたらした。

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