ラブ・ジェネレーション


「翔琉のしたいようにすればいいよ、応援するから」

「俺と一緒に来てくれないか?」

「私も? ……それは無理だよ、お母さんを一人置いては行けないし」
お母さんを一人にするのは嫌だ、二人きりの家族、お母さんは私が生きがいなんだから淋しい思いはさせたくない。

予想通りの返答だったのだろうか、翔琉はあっさり諦めの言葉を口にした。
「やっぱ止めるか、俺も結衣から離れられない」

本心じゃないと思った、私から離れられないのは確かかもしれないけど、それよりもきっと夢を追いかけたいはずだ、足を引っ張るのは嫌だ、翔琉の夢を応援してあげたい、

そんな気持ちが自然と言葉に現れた。
「翔琉…………私好きな人ができたの」

「……うそ、だろ」

「会社の先輩、ちょうどいい機会かもしれないね」

私の気持ちを優先してくれるって言ってたよね、、
黙り込んだ彼の横顔、目を細め悲しみを必死に堪えている。

「少し時間をくれないか、考えたい」

私を軽く抱きしめると、翔琉は背中を向けて歩き出した、両手の掌を強く握りしめて立ち止まる、

「結衣! 一つだけ教えて、そいつと俺とどっちが好きなんだ?」

「今は、、もうその人の方が好きかな、」

咄嗟になんでそんな嘘が出たんだろうか、
翔琉の方が好きに決まっているのに、

「わかった、また電話する」


嘘が下手な私の言葉を翔琉はどう受け取ったのだろう、行かないでって素直に言えなかった、


二日後、予想通り翔琉は電話で別れを口にした。
私より夢を選んだとは思わなかった、、優しい翔琉の事だ、私の気持ちを優先してくれたのだろう。

自分が選んだ別れ、本心じゃなくてももう後戻りはできない。

『結衣、俺はアメリカに行くことにした、、』
『そ、そうわかった、ごめんね、応援してるから頑張って』

たったそれだけの短い会話だった、

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