【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 時は、少しだけさかのぼる。
 最初は、いたってまじめな雰囲気だった。
 フレデリック王とシリウス公爵が揃った場に呼び出され、座りなさいと言われた婚約者二人は緊張していた。
 なんだろう、と内心そわそわするフレデリカに、父王は静かに告げる。
 
「フレデリカ。お前も成人したことだし、そろそろシュトラウスとの婚姻を、正式に結ぼうと思う」
「……!」

 この国の成人年齢は18歳で、婚約からは13年経っている。
 そろそろ結婚を、と言われてもなにもおかしくはなかった。
 成人直後に結婚とならなかったのは、二人の関係が深まるのを待っていたからかもしれない。
 フレデリック王の言葉に、シリウスも続く。

「覚悟はできているな? シュトラウス」
「はい」

 シュトラウスの答えに、迷いはなかった。
 彼は隣に座るフレデリカを見やり、互いに頷き合う。
 思いを通じ合わせ、愛し合う男女となった二人だ。
 結婚の意思の最終確認など、見つめ合い、頷くだけでよかった。
 そんな彼らの姿に、父たちも満足げだ。

「それで、結婚までの段取りや、その後のお前たちの過ごし方の話なんだが……」

 と、結婚のための準備やその先の話へと進んでいき……。 
 結婚式の話になったとき、父親二人はぶつかった。
 フレデリカとシュトラウスの婚約者歴が13年なら、親の付き合いだって13年となる。
 子らを通じて親交を深めていた彼らは、いつしか、こうした言い合いもできる仲となっていた。
 仲がいいのは喜ばしいことではあるが、互いに意見ができてしまうが故に、喧嘩も終わらない。
 
「……フリッカ。散歩にでも行こうか」

 シュトラウスが立ち上がり、フレデリカに手を差し出す。
 フレデリカは彼の手を取り、二人は静かに部屋を抜け出した。
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