【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 柔らかな日差しが差し込み、教会堂のステンドグラスをきらめかせた。
 その輝きの前に立ち、シュトラウスはフレデリカを待っている。
 ついに、二人の挙式が始まったのだ。
 父であるフレデリック王とともに、フレデリカが入場する。
 父と娘が進む道の両脇に備え付けられた席に、ルーナの姿はなかった。
 新郎の前までたどり着くと、フレデリカは父から新郎へと渡される。
 父に代わり、シュトラウスに手を取られたことで、フレデリカは、ああ本当に結婚するのだと、自分は王女から公爵家の……シュトラウスの妻になるのだと、実感した。
 それはシュトラウスも同じで。大切な娘を王より託されたこの瞬間を、噛みしめていた。

 婚約の儀では、王女の婚約者となったシュトラウスがフレデリカの前でひざまずき、手にキスを落とした。
 だが、フレデリカが正式に公爵家に降嫁することになった今、シュトラウスが彼女にひざまずくことはない。
 王女に忠誠を誓うのではなく――これから共に歩んでいく、パートナーとして。
 シュトラウスは、フレデリカの唇に、キスを落とした。
 ステンドグラスを通した光の中で、二人は永遠を誓い合う。

 フレデリカの銀の髪は、日の光を受けて透き通る。
 純白のドレスに身を包んだ、銀髪の花嫁。
 そんな彼女の髪飾りにあしらわれた黒曜石は、ひときわ目を引いた。
 一方、新郎シュトラウスの髪色と同じ黒衣に施された銀の刺繍も、その存在を主張していた。
 絵画の中から飛び出してきたかのような光景を前にして、参列者たちはほう、とため息をもらす。
 参列者の中には、まだ幼いフレデリカを粗末に扱おうとした者もいる。
 そんな過去を持つ者ですらも、立派に成長してみせた王女の結婚を、祝福した。
 互いの色を交換し、見事着こなした二人は、間違いなく、今日一番美しく、幸せな新郎新婦だった。

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