【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
エピローグ

今日も、明日も、これからも

 それから、数か月が経過した。

 アルフレドとルーナは、正式に婚約。
 婚約と同時に、アルフレドが次期国王となることも決定した。
 勉強家の第二王子・ディルクは、アルフレドの補佐にまわることになっている。
 ディルクは、アルフレドに王の重責を押し付けてしまったのでは、と気にしていたが、アルフレドはそんな風に思ってはいなかった。
 第一王子として誕生した時点で、覚悟はしていたのである。
 むしろ、頭のいいお前が補佐についてくれて助かるぐらいだと、アルフレドは、弟の頭に触れながら笑った。


 ルーナは、結婚式のあとからリエルタで保護されていたのだが、アルフレドとの婚約を機に、王太子妃教育を行うという名目の元、リエルタの王城預かりとなった。
 未来の国母ともなれば、当然、厳しい教育が行われる。
 けれど、彼女は隣国の姫であったから元の教育水準が高く、王太子妃教育もそれほど苦ではないようだった。
 そばにはアルフレドやフレデリカもおり、王太子妃としてその立場を認められ、蔑ろに扱われることもなく。
 彼女は、これまでで一番幸せだった。


 テネブラエによる王女暗殺計画を発端として、一時、リエルタとイヴェルク間の緊張は高まった。
 しかし、イヴェルク側が必死になって、国としては関与していないこと、高性能な仕込み銃の入手経路やその撲滅、争う意思はないこと、必要であればテネブラエの身柄もリエルタに引き渡すと示したため、なんとか開戦は阻止できそうだった。

 完全に落ち着いたわけではないのだが、暗殺対象であった王女・フレデリカも、開戦せず済みそうなことに安堵していた。
 テネブラエの独断だったとしても、他国の公爵家の人間であった以上、国家間の問題として扱われる。
 個人対個人のように、気にしてませんよ、いいですよ、なんて簡単に言うことはできないし、厳しい対応や各種対策も必要となる。
 解決は先になるだろうが、両国にとって良い方向に進んでくれることを、フレデリカは願っていた。
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