【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「それで、用件なんだが……」

 少しの雑談ののち、シュトラウスがそう切り出す。
 先に聞いていた彼のスケジュールから、少し変更があったようだ。
 何日は王城にいて、この日は視察で外に出ていて……とシュトラウスから説明を受ける。
 幼い頃のような触れ合いはなくなり、二人で過ごすこともほとんどない状態ではあるが、彼のスケジュールを確認するこの時間だけは、何年もずっと続いている。

 先ほどは書面だけを置いて行こうとしたが、それは他国の姫であるルーナがいたからだ。
 普段のシュトラウスは、書面と口頭の両方を使う。
 婚約者に対する、シュトラウスなりの誠意なのかもしれない。
 フレデリカは、彼のこういった面を好ましく思っていた。
 
 7つ上のシュトラウスは、今年で25歳になる。
 初めて会ったときから大人びていた彼だが、年齢が伴った今では、凛々しく精悍で、鍛えているために胸板も厚く、手も少しごつごつしていて大きく……と、大人の魅力たっぷりの男性となった。
 漆黒の髪と瞳が、彼の凛々しさや色気を引き立たせる。
 フレデリカも女性としては身長はやや高めのほうだが、シュトラウスの成長具合は凄まじく、フレデリカなど彼の腕の中にすっぽりとおさまってしまう体格差だ。
 声も低く落ち着いたバリトンボイスで、彼のことを好くフレデリカは、ただ説明を受けているだけでもドキドキしてしまう。

 ああ、好きだなあ。
  
 彼の隣に座り、その手を、口元を、声を、瞳を。間近に感じたフレデリカは、改めてそう感じた。
 フレデリカがまだ幼かった頃、兄として接してくれた優しさも、あの頃の思い出も。
 忙しいはずなのに、こうして時間を作ってくれる、大人になった彼のことも。
 やっぱり、大好きだ。
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