【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「シュウ……」

 フレデリカは過去の彼との温かな記憶まで思い出し、現状と比較してしまい、もう、ぐすぐすと泣き出しそうな勢いである。
 一方、フレデリカのつむじと会話する状態のルーナは、やっぱりなにか変だなあ、と思っていた。

 そもそも、シュトラウスはフレデリカの頭を撫でるつもりだったのだろうか。
 過去の二人が、そういった触れ合いを多々行っていたことは知っている。
 けれど、今は成人した者同士の婚約者。シュトラウスに至っては25歳である。
 子供扱いして頭を撫でるよりは、髪に触れるほうが年相応というか……それっぽい、気がする。

 それに、頭を撫でるにしろ、髪に触れるにしろ、婚約者という仲なのだから、それくらいの触れ合いをしたってなにもおかしくない。
 シュトラウスのほうからフレデリカに触れようとしたのに、途中でやめた。
 それは、どうして?
 考えてみるが、ルーナはシュトラウスとは別の人間だから、答えは出ない。
 シュトラウスにはシュトラウスの考えがあるのかもしれないが、このままでは、彼のことで悩み続けるフレデリカが可哀相だ。

「ねえ、フリッカ」
「なあに……?」

 テーブルに顎をつけたまま、目線だけをあげるフレデリカ。
 シュトラウスとの関係について悩み始めてしまい、まだ元気が出ないのだ。
 そんなフレデリカに、ルーナはいたずらっぽく笑いかける。

「シュトラウスに、もっと仕掛けてみない?」
「しかける……?」
「アタックするのよ! シュトラウスに」
「あたっく」
「そう、アタック!」

 ぽかんとするフレデリカと、ぐっと拳を握るルーナ。
 二人とも青い目をしているが、瞳に映された感情は、まったく異なるものだった。

 ルーナは思うのだ。
 フレデリカのほうからもっと大胆に動いても、悪いことにはならない、と。
 シュトラウスがフレデリカのことを嫌っているはずがない。
 むしろ、フレデリカを可愛く思っているはずだ。
 それが恋愛感情でなかったとしても、今までに見聞きした感じであれば、フレデリカが押せば突破できそうである。
 ならば攻勢に出てしまえばいい。

「仲良し大作戦、発動よ!」
「お、おー……?」
 
 ルーナの勢いに押され、片手をあげるフレデリカ。
 仲良し大作戦。わかりやすいが、微妙なネーミングセンスであった。
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