【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 いつまでも兄妹ではいられないと、わかっていた。
 成長したフレデリカが、にいさま呼びを恥ずかしがるであろうことも。
 けれどシュトラウスは、できることなら自分を兄として扱い続けて欲しいと、思っていた。

 婚約したときからここまで、フレデリカが自由を望むのなら、他の男性を選ぶのなら、彼女の手を放すという意思に変わりはなく。
 その「もしも」が来たとき、自分たちはあくまで兄妹のようなものだから、結婚は形だけだから、と思えれば、すんなりと彼女を離してあげられる。
 だからシュトラウスは、兄と妹という防衛線を、崩したくなかった。
 けれど、シュトラウスの気持ちなど知らぬフレデリカは、その線引きを超えてしまったのだ。
 
「シュウ、か……」

 ベッドにうつ伏せになり、そうひとりごちる。
 フレデリカは、これからどんどん成長していき、美しい女性となるだろう。
 そのとき、シュトラウスは彼女を自由にさせてあげられるだろうか。
 シュトラウスは既に、彼女への独占欲が生まれていることを感じていた。
 自分から見ればまだ子供の、10歳の女の子に対してだ。
 これ以上、フレデリカのそばにいたら。兄妹ではなく、婚約者として過ごしたら。
 シュトラウスはもう、彼女の手を離せなくなってしまう。


 この日を境に、シュトラウスはフレデリカから徐々に距離を取るようになった。
 仕事が始まったから、忙しいからと、それらしい理由を作って。
 きみを離せなくなるから、独占したくなるから、という本当の思いは隠したまま時は経ち、フレデリカは成人を迎えていた。
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