【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「こんなに賑やかだなんて……」

 城を抜け出して街に出たフレデリカは、人の気配と明かりに誘われ、飲み屋街に辿り着いた。
 王女だと知られるわけにはいかないため、シンプルな白いワンピースの上にフード付きのポンチョを羽織り、フードも深めにかぶっている。
 時刻としては、日付が変わるにはまだそれなりの時間があるぐらいだろうか。
 灯りのついた店が並び、そこかしこから笑い声が聞こえてくる。談笑しながら道を歩く人も多い。
 王女として育ったフレデリカは、単独での夜間無断外出にそれなりの恐怖心があったが、賑やかな光景を前にほっとした。

 これだけ人がいるなら、一人で出歩いても大丈夫だろう。そう思った。
 安心したフレデリカは、改めて飲み屋街を見回す。

 酔っ払い、肩を組んで道を歩く男たち。
 店を探しているのか、なにやら相談している様子の集団。
 煌々と灯りがともった店の中では、それぞれに酒や食事を楽しんでいる。
 落ち着いた雰囲気の小さなバー、パスタやピザとともにワインを提供する店、店も広ければ店員も多い大型店舗など、店の個性もさまざまだ。
 成人を迎えたばかりの王女であるフレデリカは、もちろん、夜にこんな場所に来るのは初めてだ。
 明るい時間帯とは全く異なる雰囲気に、陽気に笑う人々。
 今まで知らなかった世界を前にして、ちょっとずつ気持ちも上向いていった。
 シュトラウスのことで思いつめ、衝動的にここまで来てしまったわけだが、このまま何もせず城に帰るというのも味気ない。

――せっかくだから、どこかお店に入ってみよう。

 お金もしっかり持ってきたから、代金が払えなくて困ることもないだろう。
 飲み屋の多い通りを何往復かしたのち、フレデリカはそのうちの一店の扉をくぐった。
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