【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「いらっしゃい! 何人だい?」
「ひ、一人です」
店に入ってすぐに恰幅のいい女性店員に話しかけられ、声が上ずった。
一人で乗り込んだはいいものの、やはり緊張するし、正体がバレやしないかと不安になる。
思わず、ポンチョの合わせ部分をきゅっと握ってしまった。
女性店員はフレデリカのそんな態度を気にすることなく、席へと案内してくれた。
フレデリカが選んだのは、飲み屋と食堂の中間ぐらいの雰囲気の、素朴な佇まいの木造の店。
大型店舗やバーは、不慣れなフレデリカには敷居が高かったのだ。
彼女は成人しているが、酒はまだ飲めない。
飲酒が許可されるのは20歳からなのだ。……もしも飲酒可能年齢に達していたとしても、この状況で飲みはしないが。
夕食も済ませたあとだったため、量の少なさそうなメニューをいくつかと、ぶどうジュースを注文した。
一人で勝手に城を抜け出し、酒場に入った。
いけないことだとわかってはいるが、その背徳感が妙に気分を高揚させる。
さらに周囲の雰囲気にもあてられて、酒も飲んでいないのになんだかふわふわしてきた。
ここ最近つらいことが続いたが、何者でもない人間として一人酒場で過ごすこの時間は、心地いいと思える。
フレデリカは、正体を知られないよう気を付けているつもりだった。
服だって、お忍びに際に着るものを選んだ。
髪も、飾りをつけたりせず、ただおろしている。
実際、彼女が王女であると気が付く者はいなかった。
しかし、身に纏う服はドレスほど高価ではない、というだけで、見定めるつもりで見ればすぐにわかる上等なもので。
髪だって、美しく輝く銀髪だ。腰まで届く長さだというのに、よく手入れの行き届いたそれは、一般の家庭ではなかなかお目にかかれないだろう。
所作だって、やはり上流階級の人間のものだ。
それになにより――フレデリカは、フードを深くかぶっても隠し切れないほどに、整った顔立ちをしていた。
「ひ、一人です」
店に入ってすぐに恰幅のいい女性店員に話しかけられ、声が上ずった。
一人で乗り込んだはいいものの、やはり緊張するし、正体がバレやしないかと不安になる。
思わず、ポンチョの合わせ部分をきゅっと握ってしまった。
女性店員はフレデリカのそんな態度を気にすることなく、席へと案内してくれた。
フレデリカが選んだのは、飲み屋と食堂の中間ぐらいの雰囲気の、素朴な佇まいの木造の店。
大型店舗やバーは、不慣れなフレデリカには敷居が高かったのだ。
彼女は成人しているが、酒はまだ飲めない。
飲酒が許可されるのは20歳からなのだ。……もしも飲酒可能年齢に達していたとしても、この状況で飲みはしないが。
夕食も済ませたあとだったため、量の少なさそうなメニューをいくつかと、ぶどうジュースを注文した。
一人で勝手に城を抜け出し、酒場に入った。
いけないことだとわかってはいるが、その背徳感が妙に気分を高揚させる。
さらに周囲の雰囲気にもあてられて、酒も飲んでいないのになんだかふわふわしてきた。
ここ最近つらいことが続いたが、何者でもない人間として一人酒場で過ごすこの時間は、心地いいと思える。
フレデリカは、正体を知られないよう気を付けているつもりだった。
服だって、お忍びに際に着るものを選んだ。
髪も、飾りをつけたりせず、ただおろしている。
実際、彼女が王女であると気が付く者はいなかった。
しかし、身に纏う服はドレスほど高価ではない、というだけで、見定めるつもりで見ればすぐにわかる上等なもので。
髪だって、美しく輝く銀髪だ。腰まで届く長さだというのに、よく手入れの行き届いたそれは、一般の家庭ではなかなかお目にかかれないだろう。
所作だって、やはり上流階級の人間のものだ。
それになにより――フレデリカは、フードを深くかぶっても隠し切れないほどに、整った顔立ちをしていた。