【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 初対面だったが、彼は話しやすい人だった。
 本人の話によれば、彼は王都でワインを主とした酒類の販売をしているらしい。
 今よく飲まれているものはなにか、どういった組み合わせの酒と食事が合うのか。
 そういった研究も兼ねて、よく酒場には顔を出すのだそうだ。
 
「本音を言っちゃうと、理由をつけて飲みたいだけなんだけどね」

 そう言って、男は笑った。

 酒場で起きた変わったことや、隠れ家的な飲食店の話など。
 彼が話す内容は、王城で暮らすフレデリカにとって新鮮なものだった。
 いつしかフレデリカの警戒は解け、笑顔を見せるようになる。

「そうそう。この店の奥に、変な飾りあるでしょ? ほら、あれ」

 おかしそうに笑いながら、男が店の奥を指さした。
 男の話に興味を持ってしまったフレデリカの顔も、彼が示したほうへ向けられる。

「あれは、ここの店主がハリバロフに行ったときに買ったものらしくてさ。超レアものの高級品だって露天商に言われて買ったら、あとになってガラクタだってわかったとかで……」

 男は、フレデリカの視線がテーブルから外れていることを確認し、彼女のグラスに手を近づけた。
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