【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 王城に向かうシュトラウスの腕の中で、フレデリカがすうすうと寝息をたてている。
 フレデリカが城からいなくなったと聞いて、彼は必死に街を探し回っていたのだ。
 夜会終了後も、ハリバロフの者たちと談笑していたためにまだ正装であったが、呑気に着替えている場合ではなかった。
 聞き込みをしながら走り回り、ようやく酒場でフレデリカを見つけたときには、意識を失った状態で男に連れ出される直前だった。

 男はフレデリカが酔って寝てしまったと話したが、彼女が酒を飲まないことは知っている。
 男が嘘をついたこと、フレデリカをさらおうとしていたことは、すぐにわかった。
 おおかた、良家の美しい女をさらい、金儲けでも企んでいたのだろう。

 今回は阻止できたが、タイミングとしては本当にギリギリだった。
 あと少しでも遅ければ、フレデリカは連れ去られていただろう。
 

 フレデリカ・リエルタは、誰もが振り向くような美貌を持つ女性だ。
 手入れの行き届いた銀の髪は、光を受けてキラキラと輝いて。
 明るい場所での美しさはもちろんだが、夜空の下、月明かりを受ける姿はまるで妖精のようだった。
 少しくせ毛でふわふわとしているから、彼女の柔らかな人柄にもよく合っていた。

 大粒の宝石のような青い瞳も、とても魅力的で。
 王女として優雅な笑みを浮かべていることが多い彼女だが、その瞳からは、本来の優しさも見て取れる。
 銀と青という、クールな印象を抱きやすい色を持つというのに、彼女のまとう雰囲気は柔らかい。
 生来の優しさや素直さが、にじんでいるのだろう。
 そんな彼女に惹かれる人間は多い。
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