【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 シュトラウスが見つけた彼女は、フードつきの上着を羽織っていた。
 一般の女性に近い格好をして、フードをかぶる。身分を隠すため、フレデリカなりに気を付けていたのだろう。
 しかし、フレデリカの美しさや気品は、それくらいで覆い隠すことはできない。
 事実、さらう価値のある人間であることを見抜かれ、危険な目に遭った。
 この容姿だ。身代金を要求したりどこかへ売り飛ばしたりする前に、乱暴されていた可能性も高い。
 最悪の事態を想像すると、ぞっとした。


「フリッカ……」
 
 シュトラウスはフレデリカを抱える腕に力を込め、彼女をぐっと抱きしめる。
 
 大事な大事な、シュトラウスのお姫様。
 ずっと見守ってきた、シュトラウスの愛しい人。
 大好きで、愛おしくて。
 けれどいつか手を放すときがくるからと、距離をおいていた。
 大切でたまらないからこそ、彼女の意思を尊重したかった。
 自分の暗く醜い欲を、彼女に向けたくなかった。
 守り、慈しみたかった。
 だが――

「あんな下衆の手に落ちるぐらいなら、いっそ、俺が」

 触れて、奪って。
 彼女の全部を、自分のものにしてしまいたい。
 他の男など、指の一本も触れられないように閉じ込めてしまいたい。
 二度と今日のようなことが起きないよう、自分のそばに繋いでしまいたい。
 
 どろどろとしたものが、シュトラウスにまとわりついていく。

 このままホテルにでも連れ込んで、自分という男を刻んでしまおうか――。

 暗く、重く、醜い感情が、自分を支配していくのがわかった。
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