【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 翌朝、いつもより早い時間にフレデリカは目を覚ます。
 自室のベッドで迎える見慣れた朝だったから、ここ最近のことは長く悪い夢だったのではと思ったぐらいだ。
 しかし、フレデリカが目覚めたことを侍女が父王に伝え、両親に呼び出されたことで、昨夜のあれそれは現実であったことを理解した。

 王城開催の夜会にて、シュトラウスと他国令嬢がキスする場面を目撃し、自暴自棄になって城を抜け出して街の酒場に入った。
 そこで見知らぬ男に出会い、話しているうちに猛烈な眠気に襲われた。
 フレデリカの記憶は、ここで途切れている。

 

 王の私室にて、両親には、それはもうこっぴどく叱られた。
 当たり前だ。王女である自分が一人で勝手に城を抜け出したうえに、誘拐されそうになったのだから。
 どう考えたって悪いのは自分で、両親に反抗する気持ちなどこれっぽっちもわきはしない。
 フレデリカは、己の迂闊さと、この年になってこんなにも迷惑と心配をかけた自分を恥じた。
 父が言うには、誘拐直前のフレデリカをシュトラウスが見つけ出し、王城まで運んでくれたそうだ。
 あとで自分の口からもシュトラウスにしっかりと礼を言うよう、念を押された。

「……どうして、一人で城を抜け出したりしたの?」

 母の問いかけに、フレデリカは下を向く。
 自分と同じ青い瞳に移るのは、フレデリカを問い詰め責める気持ちではなく、子を想う親の心だった。
 心配されている。娘の自分を想い、寄り添おうとしてくれている。
 そう理解できたが、理由を話すわけにはいかなかった。
 自分を魔の手から救ってくれた、礼を言うべき相手――シュトラウスが、他国のご令嬢にキスされていた、なんて。
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