【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 二人だって、娘を助けた男の浮気疑惑など、今聞かされても困るだろう。
 なにも言えずにいると、両親は顔を見合わせてから、小さく息を吐く。
 それから、二人揃ってフレデリカを抱きしめて。

「無事でよかった」

 震える声で、そう言った。
 
「……ごめんなさい。お父様。お母様」

 たしかな後悔とともに、フレデリカからも腕をまわして愛する家族を抱きしめ返す。
 親子三人の、静かな時間が流れていった。



 部屋を出れば、扉の前には弟二人の姿もあった。
 第一王子のアルフレドと、ハリバロフから一時帰国中の第二王子・ディルクだ。
 王家の血が色濃く出たこの兄弟は、赤みの強い茶髪に深紅の瞳をしており、顔もよく似ている。

「姉さん! 無事!?」
「ねえさま……! 無事に帰って来てくれて、よかった……!」
「バカ! 姉さんのバカ!」
「シュトラウスが見つけてくれなかったら、今頃どうなっていたか……」
「バカ! バカあね!」

 フレデリカの姿を見るなり、二人はわっと騒ぎ出し、勢いのままに抱き着いてくる。
 相当心配したのだろう。二人とも、今にも泣き出しそうだった。
 ちなみに、語彙力が極端に低下し、バカと連呼しているのはアルフレドのほうである。
 フレデリカは二人の弟に好かれているが、特にアルフレドは、隠す気のない姉さん大好き人間であった。
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