怖い部屋-やってはいけないことリスト-
「だけど、音楽室のときみたいに映像が流れ込んでこないと、なにも対応できないよな」


和也は腕組みをして愚痴る。
あのときは幽霊の方から積極的にこちらへアプローチしてきた。

こんな出来事があって苦しんでいるのだと教えてくれたから、対応もできたんだ。
あの少年の幽霊はフルートの演奏をし終えると、涙を流して消えていった。

一番の心残りだった大会へは出られなくても、自分の演奏を最後に聞いてもらったことで満足したんだと思う。


「今回の幽霊は驚かせるだけ驚かして、全然教えてくれないもんね」


亜希も和也と同じように腕組みをした。
今野状況で自分たちができることなんて、限られている。


「とりあえずさ、このコテージでなにか事件が起きていないか、調べてみようか」


和也がスマホを取り出して言った。
外は大雪だけれど電波はある。
それだけは幸いだった。


「そうだね。それでなにかがわかれば、変わるかもしれない」


亜希も和也の意見に同意したのだった。
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