幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
これから先もずっと、那桜と一緒にいたい。
那桜と離れるなんて考えられない。
「……わかりましたよ」
悠生はガシガシと自分の頭を掻いた。
「お嬢にそんな顔されちゃ、何も言えないじゃないっすか」
「悠生」
「俺は何より、お嬢に幸せになってもらいてぇ。
それがあのガキなのが気に食わねえけど、お嬢にとって一番幸せなら応援します」
「悠生……!!ありがとう!」
私はまた涙が溢れた。でもこの涙は嬉し涙だ。
「ごめんね……っ。体大丈夫?」
「もうへーきっすよ」
「よかった」
「でもお嬢、これからどうするんすか?組長はこれから大事な会合が会って出かけるけど、相当の見張りをつけるっぽいんで、逃げ出すとかは無理っすよ」
どうやら組員たちに絶対に私を外に出すな、と命令しているらしい。
「俺だって本当はここにいること見つかったらヤバいんすから」
「そうだよね……」
悠生には迷惑かけたくない。
せめて、桜花と染井が対立する本当の理由がわかったらいいんだけど……調べる方法とかあるのかな?
「ねぇ、悠生は何か聞いてない?どうして桜花と染井が敵対するのか」
「ここに来たばっかの時聞いたことあるけど、詳しいことは知らないっすね。あ、でも」
「でも?」
「あんなことがあったらなぁ、って言ってんの聞いたことあるっすね」