幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
急にブワワっと全身が熱くなる。
「那桜、私のこと好きなの?」
「はい」
「な、なんで!?」
「なんでって言わなきゃダメですか?」
「だって、おかしいじゃん!私たち敵同士なんだよ!?ライバルなのに、好きなんて……っ!」
「そう思ってるのは、鏡花だけだ」
那桜は私の腕を取った。縛られていた手首が赤く腫れている。その赤くなった箇所に那桜はキスをした。
「っっ!?」
キスされた手首がもっと赤くなる。
「で、でも!もう遊ばないって離れたのは那桜じゃないっ」
「そう言わないと引き離されるし。鏡花を手に入れるためには、ああ言うしかなかった」
「友達だって思ってないって……!」
「友達じゃ嫌だから」
あ、あれは……そういう意味だったの?
「俺はずっと前から鏡花と結婚するって決めてる」
「はあっ!?」
「敵同士だとか関係ない。俺のものになってよ」
「む、無理……!!那桜のこと、そんな風に見たことないもんっ!」
「じゃあ見ろよ。男として」
「……っっ」
なんでそんなに真っ直ぐ私を見るの?
那桜の目が昔から苦手だった。
いつも人を小馬鹿にしたように見下すくせに、時々射抜くように強く見つめてくるのが苦手だった。すぐに逸らしたくなる。
それは、那桜に心を囚われてしまうかもしれないって思ってたからなのかもしれない――。
「鏡花……」
「っ!」