幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 那桜が桜花組で修行!?


「何言ってんの!?無理だから!!つーかなんで!?」

「簡単に言えば若頭修行の一貫ですかね。俺、毎年この時期は染井一家の別の支部や、傘下の組に派遣されてるんです。
次期組長として顔を売るためでもあるんですが」

「じゃあ尚更桜花(うち)に来る必要なくない?」

「敢えて同業の桜花組に身を置くことで、新たな知見が得られるんじゃないかと思いましてね。
俺は現状の染井のままではなく、新しく変えていきたいと思ってるんで」

「そ、そうなんだ……。いやでも、うちの連中が黙ってないよ?」

「だからお嬢が説得してくださいよ」

「私が!?」


 なんで私がそんな大役任せられなきゃいけないの!?つーかなんで私は了承したことになってんの!?


「染井と桜花は敵対同士ですが、表向きは二組が協力して警察の影の組織として動くことになっていたはずです」


 確かに表向きはそうなってるけど……あくまで「表向き」なんだよぁ……。


「2週間だけでいいので」
「いや結構長いな?」
「見習いでいいです。雑用でもなんでもやります」
「えぇ〜〜……」
「お願いします、お嬢」
「う〜〜〜〜〜ん……」


 そんなこんなで、なんだかんだでそういうことになってしまったというわけ。


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