幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
* * *
「ごめん、みんな!だからよろしく!!」
「お嬢〜〜!!!!」
「そうよ〜いいじゃない!」
ニコニコしながらやって来たのは、吉野ジェシカ。私の母です。
「姐さん!!」
「どーせしばらくパパはいないんだし〜、2週間くらい、いいんじゃないかしらぁ?」
「いや姐さん!でも!!」
「よろしくね〜、那桜くん」
「よろしくお願いします」
「あ、姐さーーん!!!!」
うちのママは極妻にあるまじき、のほほんとしたマイペース。このマイペースさにはみんなが振り回されており、ある意味で桜花組最強だったりする。
よそから嫁いできたママは、染井と桜花の敵対関係にも疎いからなぁ……。
「――おい、染井の坊」
低い声で那桜を睨み付けたのは、悠生だった。
「染井じゃテメェが若頭かもしれねぇが、ここでは見習いだ。しっかり働けよ」
「当然ですよ。よろしくお願いしますね?……先輩」
「クソガキ」
「わーーっ!!」
いきなりピリついた空気醸し出すのやめてーー!!
「悠生、わかってると思うけど喧嘩はやめてよ!?」
「わかってるっすよ。納得いかねぇが、仕方ねぇ。桜花組の厳しさ、教えてやりますよ」
「そ、そっか……よろしく」
というわけで、2週間那桜が桜花組で修行することになったんだけど、大丈夫かなぁ……?
もう既に不安しかない……。