幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


* * *


「ごめん、みんな!だからよろしく!!」

「お嬢〜〜!!!!」

「そうよ〜いいじゃない!」


 ニコニコしながらやって来たのは、吉野ジェシカ。私の母です。


「姐さん!!」
「どーせしばらくパパはいないんだし〜、2週間くらい、いいんじゃないかしらぁ?」
「いや姐さん!でも!!」
「よろしくね〜、那桜くん」
「よろしくお願いします」
「あ、姐さーーん!!!!」


 うちのママは極妻にあるまじき、のほほんとしたマイペース。このマイペースさにはみんなが振り回されており、ある意味で桜花組最強だったりする。
 よそから嫁いできたママは、染井と桜花の敵対関係にも疎いからなぁ……。


「――おい、染井の(ぼん)


 低い声で那桜を睨み付けたのは、悠生だった。


「染井じゃテメェが若頭かもしれねぇが、ここでは見習いだ。しっかり働けよ」

「当然ですよ。よろしくお願いしますね?……先輩」

「クソガキ」

「わーーっ!!」


 いきなりピリついた空気醸し出すのやめてーー!!


「悠生、わかってると思うけど喧嘩はやめてよ!?」

「わかってるっすよ。納得いかねぇが、仕方ねぇ。桜花組の厳しさ、教えてやりますよ」

「そ、そっか……よろしく」


 というわけで、2週間那桜が桜花組で修行することになったんだけど、大丈夫かなぁ……?
 もう既に不安しかない……。


< 93 / 176 >

この作品をシェア

pagetop