灰まみれのシンデレラ。
「瑠姫(るき)、いつまでそうしてるの。」
お母さんがそう言って、洗濯かごから洗濯物を出した。
「いくら顔やら髪の毛やらいじっても生まれつきの物はどうしようもないんだから。ほら、さっさと行かないと遅刻するでしょ。」
分かってる。自分でもどうしようもないってことくらい。
でも、ちょっとは…と思ってここにいるじゃん。
そう言いたいけど、言い返せなかった。
時間も迫っていたので、鞄を持ってから慌てて家を出た。

「瑠姫、おはよう。」
幼なじみの瑛里がニコッと笑って話しかけてくる。
その笑顔についこちらまで笑顔になる。
「おはよう」
瑛里といると、先程の洗面所での事なんて忘れてしまう。
瑛里とは小学校からの幼なじみで、中学は別だったけれど高校でまた同じになってすっかり仲良くなった。
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