ざまぁ代行、承ります。星空の女神は沈黙の第二皇子とお兄様に溺愛されて、代行業に支障を来しているようです。
「……悪くはないわ」

 総合点は、プラスマイナスゼロ。
 幸福とは言い難く、不幸と卑下するのはディミオに失礼なら、言葉を濁すしかないじゃない?

「ミスティナらしいね」

 私の答えに、ディミオは苦笑いした。

 白黒はっきりつけることなく、思ったままを口にする。
 その気になれば私の考えていることを覗き見できる従者のアクシーと、嘘がわかるディミオの魔法が合わされば、彼らの前で嘘などついた所で、無駄なのよね。

「幸福や不幸だと告げても、角が立つなら。私の答えは、冴えていると思わない?」
「うん。最高の解答だよ。さすが、星空の女神だね。おれの愛しい。最高の奥さん……」

 またそうやって、私に軽々しく愛を囁く。
 ディミオは口を開けば何度でも好きだ愛していると軽々しく呟くけれど、私は彼が抱く愛の重さを、よく知っている。

 私は彼に愛され続ける限りは、そばにいるわ。

 いつかディミオに、幸せなのかと聞かれた時。
 面と向かって満面の笑みで幸せと紡げるように。
 彼のことが愛おしくて堪らないと、愛を返せるようになれたらいいわね。

「貴方のことは好きではないけれど、私にとってディミオは、最高の旦那様だと思っているわ」

 今は彼に愛を囁くことはできないけれど。私は今返せる、精一杯の愛情を彼に呟く。

「ミスティナ、愛してる……!」

 それを聞いたディミオは、キラキラと光り輝く星のように瞳を輝かせ、私に口付けた。
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