ざまぁ代行、承ります。星空の女神は沈黙の第二皇子とお兄様に溺愛されて、代行業に支障を来しているようです。
「お兄様、なんだか変だわ。魔法回復薬を飲んで、精神に異常を来してしまったの?」
「はっ。今更気づいたのかよ。俺はてめぇが生まれた時から、ずっとイカれてる」

 季節が夏ならば、暑さで一時的にやられただけだと言い訳が効くけれど……今の季節は冬。
 暑さでやられたなど、言い訳のしようがない。

「お兄様は、隠れシスコンだったのね」
「は?ちげぇよ、バーカ」
「照れなくていいのよ。手を繋ぐくらいなら、いつだってしてあげるのに」
「……それじゃ足りねぇ」

 今、お兄様はなんて言ったのかしら?もう一度言ってと問いかけるために、お兄様の横顔を確認すれば。頬が赤くなっているような……?

「私がカフシーに、独身のまま居座り続けるべき理由に理解を示してくださって、嬉しいわ」
「言ってろ、アホ」

 もう。またそうやって私を馬鹿にする……。
 照れ隠しに私を馬鹿にするから、いつまで経っても仲良くなれないんじゃない。
 こうして心を開いてくださったお兄様と一緒に過ごすのは……悪くないわね。

「ありがとう、お兄様」
「……何の礼だよ」
「いつも私を守ってくれる、お礼!」

 私はキラキラと星のように瞬く笑顔をお兄様の隣で浮かべながら、教会への道のりを歩んだ。
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