ざまぁ代行、承ります。星空の女神は沈黙の第二皇子とお兄様に溺愛されて、代行業に支障を来しているようです。
「ツカエミヤ、下がっていいわ」
「で、ですが……!」
「アーバン」

 ツカエミヤは従者のアーバンを気にしているようで、私に異を唱えた。
 一人だけ先に下がるわけには行かないと言いたいんでしょうけれど、声が大きいわ。
 彼はディミオの従者だけれど、影に近い。私が下がれと命じても素直に引き下がるとは思えないから、むしろ近くに呼び寄せてやった。

 彼にだディミオが寝ている間に、伝えなければならないことがあるから。

「私の心、何度か覗いていたでしょう」

 私のそばまで近寄ってきた従者は、気づいてたのか、と私へ言うように難しい顔をした。
 この場で肯定して良いものかと悩んでいるんでしょう。
 彼は声を滅多に出さないから、独り言を言っているようで、なんだか虚しくなってくる。
 これも無駄話を防ぐ作戦のうちだとしたら、末恐ろしいわね……。
 私は従者と会話する気を削がれながらも、どうにか気持ちを伝えることに成功した。

「ディミオには、内緒よ」
「み、ミスティナ様!殿下に知られては困るようなことを考えていらっしゃったのですか!?」

 何度指摘しても、声が大きいのは直らないわね……。
 ディミオがぐっすり眠っているからいいけれど……。
 浅い眠りであれば、面倒なことになっていたわ。

「後のことは任せるわ。問題がなければ遠慮せずに下がって頂戴。おやすみなさい」

 私は唇に人差し指を置いてツカエミヤを黙らせると、従者が小さく頷いたことを確認してから目を閉じた。
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