朝型ちゃんに一目惚れ
 そして夕方。

「ショー、全部は見られなかったな〜……」

 吉田は頭をかきながら『失敗した』というように言った。
 俺はすぐに吉田にこう返す。

「いいじゃん。せっかくの海でもあるし、夕方の海も見たいでしょ。陽菜ちゃんには悪いけどさ……」

 俺はすぐに陽菜ちゃんを見た。
 陽菜ちゃんはなぜか笑っている。

「まあ、そうだよな!……ってことだよ陽菜、諦めろ」

 吉田がそう陽菜ちゃんに言うと、陽菜ちゃんはさらにニコっと笑って言った。

「何言ってんのお兄ちゃん。私は諦めてないけど?いくつかのショーは、またこのメンバーで来たときの楽しみにしたいから。いいの」

「また来たとき?」

 吉田が首を傾げたけれど、俺は大きく頷いて陽菜ちゃんに答える。

「いいじゃん、また来よう。今日だってみんなで来て良かったって、俺は思うよ?」

 そう、またきっとみんなで来られる。


 でももし俺が今日にでも陽菜ちゃんに、『付き合ってほしい』と告白して、そのまま振られたりなんかしたら……
 もう、俺はみんなとここに来ることも無くなってしまうんだろうな……
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