紳士な若頭の危険な狂愛
着いたのは夜の十一時前でも煌びやかな、この都市有数の繁華街。
以前美東さんと出会った繁華街ではない。
だから彼に会えるはずは無いのはわかっている。
すぐ彼を思ってしまう自分を叱りつけ、絵理奈ちゃんを探す。
以前店のヒントをもらっていた。
着く前までにスマホで検索し、それらしい店を二軒ほど見つけた。
一つは地方なので違う。
もう一つがこの繁華街。
私は呼び込みや怪しげな男性たちが立つ、騒がしい繁華街をスマホの地図を見ながら進んだ。
「ここかな」
細長いビルがずらりと並び、その一つの看板に『未来』という店を見つけた。
オーナーが芸能界の未来を背負う男性を育成したいというコンセプトで始めて、その言葉を店の名前に使ったと絵理奈ちゃんから聞いていた。
おそらく使った単語は未来だろうと見当をつけたのだが、その未来という看板の下に本日出演のメンバーというのが小さく出ていて、そこに『ケイ』という名前もある。
私は『未来』という店のある地下へと降りていった。