紳士な若頭の危険な狂愛
階段を下りると殺風景な広場に、『君の推しは誰?!』というキャッチフレーズと、お気軽にお入りくださいという可愛らしいポップが飾られている。
時計を見れば十二時まであと30分強しかない。
とにかくいるかいないかだけ聞こう。
私はドアを開けた。
「いらっしゃいませ!お嬢様!」
すぐに若い男性が走り寄ってきた。
「もしかして初めてのご来店ですか?!」
「あの、友達を探してて」
髪が短く子犬を思わせるような可愛い顔の男の子が小首をかしげる。
「お友達ですか?
お名前わかりますか?」
「絵理奈って子です。
こちらのケイさんのファンだと聞いたのですが」
彼が一瞬動きを止め、そして人懐っこそうな笑顔になった。
「来てますよー。
ケイくんと特別室でお話中です」
「特別室?」
「はい!スタンプが貯まると特別室で二人だけでお話が出来るんですよ。
心配ならお部屋に案内しましょうか?」
「お願いします」