紳士な若頭の危険な狂愛
「親戚です。
絵理奈ちゃん、お父さんが心配している。帰ろう」
答えられない絵理奈ちゃんに変わり私が答える。
数歩進んで私は絵理奈ちゃんの前に立つ。
手を差し出すと、絵理奈ちゃんがほっとしたような顔で手を伸ばした。
「えっと綾菜さん、だっけ?
ダメダメ。
絵理奈ちゃん、ここの代金踏み倒したままなんだから。
支払い終えないと帰れるわけないでしょ?」
絵理奈ちゃんは涙を浮かべ口を引き結ぶ。
そんな絵理奈ちゃんの頬をケイが人差し指でつついた。
「残念だなぁ、僕のために頑張ってくれてたのに。
だけどお金を踏み倒すような子、僕が好きになるわけが無いでしょ」
馬鹿にするような声に、絵理奈ちゃんの目からはぽろぽろ涙が流れ出した。
「止めてください」
「綾菜さん、貴女が肩代わりするなら絵理奈ちゃんを今すぐ家に帰せますよ?」
ふーっとタバコの煙を吐いた男が、吸い殻入れの硝子の器にたばこを押しつけた。