紳士な若頭の危険な狂愛
「綾菜さん、社長さん達が今も心配しているはずです。
傷は自分で処置しますから、貴女は帰りましょう」
確かに社長達に連絡した方が良い。
美東さんがヤクザと絵理奈ちゃんが知った以上、余計に心配しているはずだ。
それに約束が出来た。
彼の特別なテリトリーに入ることの出来るアイテムまでもらった今は安心できる。
私が帰ることを伝えると彼はすぐにタクシーを呼んでくれ、部屋の灯りは一度もつかないままエレベーターに乗り込む。
彼はマンションのエントランスまで付き添ってくれた。
「綾菜さん、もう危ないことをしないで下さい。
いつでも間に合うとは限らないのですから」
「申し訳ありませんでした」
頭を下げると彼の大きな手が私の頭を撫でてきて照れくさい。
彼の手が離れると彼が合図したのか車のドアが閉まり、車が進み出す。
今日は美東さんが遠ざかっていくのをちゃんと見ることが出来た。
鞄の中に大切仕舞った彼の家の鍵。
夜を走るタクシーの窓に映った私の頬は、自然と緩んでいた。