いつしか愛は毒になる
「あの、麗華さん……会うのはこれで最後だから、種明かしして頂いても?」

私は早苗の言葉にふっと笑った。

「いいわよ。あの日……あなたが『サレ妻専用復讐サイト・(れい)』に依頼してくれてから、私は徹底的に雅也さんを調べ上げた上で貴方たちの隣に引っ越したの」 


そう──私と早苗は私が運営する闇サイトである、『サレ妻専用復讐サイト・麗』をキッカケに繋がった依頼人と請負人の関係だったのだ。

初めて新山夫妻に引っ越しの挨拶に行った際に、私は思っていたよりも早苗の置かれている状況が厳しいことを悟った。そして洗髪した際に、私が早苗の依頼したサイトの請負人ということを明かしておいたのだ。

「まさか……麗華さんが『麗』の請負人だとは思わなくって……初めはすごく驚いたわ」

「でしょうね」

私達は、ふふっと笑い合う。

「で、種明かしだけど、ネクタイピンを雅也さんから盗んで、さも私を強姦しようと見せかけ、私および第三者である高坂社長を目撃者にして弱みを握らせてもらったわ……そのあとは、雅也さんの愛人である小林杏子に雅也さんの不正が外部に漏れるようパソコンを操作して貰ったのよ」

「え? 杏子さんが雅也さんの不正データを漏らした張本人なの?」

「えぇ。こういう仕事をしてるとね、探偵仲間もいたりしてね……杏子さんには別れた旦那さんがいたんだけど」

「えっ! 杏子さんに?!」
< 56 / 60 >

この作品をシェア

pagetop