【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈1〉

「――あ……おい、カーラ!」
「……ああいう短気なところ、兄さんにそっくりだよな」
「つーか今、堕落って言わなかったか?」
「言ったな」

 エドワードとブライアンはやれやれと肩をすくめる。

 一方のアーサーはそんな二人の態度に何か考える素振りを見せて――何事かを悟った様子で二人に問いかける。

「お前たち、肝心なことを飛ばしたな?」――と。

 すると驚いたように首をかしげる 二人。

「何言ってんだよ。俺たち別に何も飛ばしてなんて……」
「そうだぞ。今の話で全部。嘘なんてついてない」
「――ほう? 街歩きのことをクリスに話したっていいんだぞ?」

 それは確信に満ちた声だった。

 これには二人もさすがに言葉を詰まらせる。――アーサーの言葉が図星だったからだ。

「俺を(あざむ)けると思ったか? 本当は何があった。――彼女と」

 その詰問に近い声に――二人はもう観念するしかなかった。

「はぁ……何だよもう」
「話してもいいけど、他言無用だぞ?」
「こう見えて口が固いのは知ってるだろ? 安心しろ」

 その返答に、やれやれとため息をつく二人。
 こうして二人は、今度こそ事の顛末(てんまつ)を話し始めた。
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