妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる

尻尾

その間にも女子たちの攻撃は続く。


女子『男たらし』

女子『一条くんにも手を出してるって聞いたけど?』

女子『どうせ、お金で釣ってるんでしょう?』

女子『最低。笑』


そう言った後、西村の肩を強く押した。

バランスを崩した西村はコンクリートに肘をついて倒れた。


だけど、決してその女子達から目を離さない。

何を言うわけでもなく、哀れんだ目で女子達を見た。


女子『マジでムカつく』

女子『行こ』


最後に西村の前に立った女子が砂のある場からそれを掬い上げるように、地面を蹴って西村に砂を浴びせた。


西村は倒れた体を起こして、体育館を背もたれに座った。


腕や肩をはらえば、ザラザラと砂が落ちていく音がする。

肘を見れば、西村自身でも痛々しいと思うほどの傷が。



狐森「先輩!」

走ってきた狐森は

西村「琥太郎、尻尾」

怒りや悲しみを表す尻尾があった。


狐森「大丈夫ですか?
いや、大丈夫じゃないだろ
えっと、保健室」

珍しく慌てる狐森はしゃがみ込んで、西村の制服についた砂をはらう。
 

チャイムが鳴って、授業が始まった。

西村「大丈夫だよ、1人で保健室行ける
だから、琥太郎は授業行きな」
 
そう言った西村を怒った顔で見る。


狐森「何言ってるんですか!
大切な先輩がこんなに傷だらけなんですよ?」

手を差し出す狐森。


西村「大切?」

狐森は勢いで出た本音に顔を赤くする。

そして小声で

狐森「次の授業は僕の苦手な科学なんで」

と付け加えた。

西村は愛おしく笑って、狐森の手を掴んだ。


西村(久しぶりに会えたと思ったら
こんなに心配してくれてるんだ。
それに、この手を握ってもいいんだ。)
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