妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる

たまには


西村はそんな狐森の言葉が嬉しくて

西村「雨の日でも?」

狐森「はい」

西村「暑い日でも?」

狐森「はい」


西村の方が照れてしまって俯き気味に話すのに狐森は西村を見つめたまま。


西村「台風の日は怖いから、早めにきて」

狐森「わかりました」

少し微笑む狐森。

西村「あと、たまには帰らないで」

少し驚いたように目を見開いたあと

狐森「はい」


ようやく、顔を上げた西村と目が合う狐森。

2人ともが照れくさそうに笑った。






「ごちそうさまでした」

手を合わせて、2人の声が重なった。


店員『こちら、お控えです』

西村「あの、よかったらここで写真撮ってもらえませんか?」

お会計後、西村が指差したのはレジ横のスペース。

そこにはショーケースがあって、アイスクリームやパフェの食品サンプルに加えて、2人がよく食べるオムライスとナポリタンもある。


店員『いいですよ』

店員さんは笑顔でスマホを受け取った。

その状況を飲み込めていないのは狐森だけでキョロキョロしている。


西村「琥太郎、こっち」

西村は狐森の手を握って、そのショーケースの前に並んだ。

狐森は触れられた手が嬉しくて耳が出た。


店員『撮りますね、はいチーズ』



手を繋いだままの2人。

西村は目を細めて満面の笑み。

狐森は照れたようにぎこちなく笑う。

この写真は2人のロック画面になった。

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