妖狐の末裔の狐森くんは、嬉しいと狐の耳が出てくる

恋人


○屋上


一条と椎名とは別れて、屋上で2人きり。

横に並んで座る。


西村はジャムパンを頬張る。

狐森はオレンジジュースを手に持っていた。


西村「びっくりしたよ。笑
付き合ってなかったのかと思った」

狐森「すみません、僕も驚いちゃって。
なんか、すごい現実だなって」

西村「なにそれ」

ククッと笑う西村。


西村「好きだよ、琥太郎」

狐森「は、はい」

耳を出して、今の感情を西村に伝える狐森。

少し前までなら、ここで会話は終わっていたのかもしれない。

でも、今は違う。

狐森「僕も琥珀先輩が好きです。」


青い空の下。

広い校舎。


西村「先輩ってなんか距離ある。名前で呼んでよ」

狐森「それはハードル高いです」

西村「なんでよ」

狐森「また、そのうち…ですね」

西村「じゃあ、キスは?」

狐森「き、キス!?」


西村は狐森の方を向いて目を閉じた。

触れ合った2人の唇。

離れて、見えた互いの表情。


西村は笑っていて、狐森は真っ赤な顔。


屋上には確かに2人の青春があった。


西村「キスより名前呼びの方がハードル高い?」

狐森「…確かに」

小さな声でそう言う狐森。


西村「…琥太郎の彼女ってだれですか?」

狐森「…琥珀です…琥珀ちゃんです」

西村は嬉しそうに笑った。

狐森の耳はすこし動いた。




END
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