あの道を、貴方と。

什陸であり、終である。

「・・・はっ!」

目を覚ますと埃と墨と紙の匂いが鼻をついた。

(・・・ここ、えっと・・・そう!わたしの家の書庫!え⁉︎戻った⁉︎)

夢じゃないかと思わず自分のほっぺたをつねる。痛い。

(ちょ、わたし、まだ任務の途中だったんだけど)

持っていた袋をみるとわたしのスマホや時計、涼ちゃんからもらったお薬など。

ついでにまだ変装したままだと知ってその場で顔だけでも変装を解く。

服はなかったらそのまま。そういえば、最初に着ていたワンピース新の家においていっちゃったな、と思い出した。

スマホをを見ると月日はわたしがタイムスリップした日。でも、充電は確かに減っている。

(タイムスリップは、夢じゃ、なかった・・・?)

信じられない、とつぶやく。ふと足元をみるとわたしがスリップする前に探していた伊賀者の一覧の本。

(もしかして・・・)

わたしは慌ててそれを拾ってそれを開く。

(どこ、どこ・・・?)

ペラ、ペラとページをめくる。何十回かページをめくってふとわたしの手がとまる。


中川新之助 新
中川 涼子 涼


(・・・いた!涼って本名じゃなかったんだ・・・そんなことも話せなかったな・・・ってあれ?)

新と涼の名前の隣に何故か空白がある。慌ててわたしの周りを探してみると長方形におられた紙があった。

(あ、これだ・・・!)

開いてみるとそこには三枚の紙があった。

一枚目はこれがここにある経緯が書かれた紙。どうやら、奥の細道の旅の後、その時代の風雅と会ってこれを名簿の隣に貼っておいてほしい、と言われたそう。

二枚目は只々数字が書かれた紙。

三枚目を見てわたしは驚いて目を見開く。

「これ・・・!わたしの書いた・・・」

三枚目はあの時新のために書いたあいうえお表だった。すでに何箇所か虫食いがされているし文字が薄くなって読みにくいところもあるけど確かにわたしの書いた字だ。間違いない。

「待って、ってことは・・・」

わたしは二枚目の紙をもう一度ちゃんと見直す。


玖肆陸漆陸・・・


(これ、暗号じゃん・・・ちょっと待ってね。紙紙!)

慌てて背負い袋から紙と矢立を出して解読していく。こんな薄暗い中じゃなくても一回部屋にもどることもできたかもしれないけど、どうしてもここで解きたい。

その一心で必死に筆を動かす。

(多分、いろはじゃなくてあいうえおの方でしょ?これがこうで・・・あ!わたしと最後にやった時と暗号の解読方法違うちゃん!ちゃんと成長してた!)

ちょっと嬉しくなりながら文字を作っていく。時々文字を読み返して必要なところに濁点とか、をつけ、漢字に変換しながら。

< 48 / 54 >

この作品をシェア

pagetop